近年、欧米の住宅研究の分野では、これまで他の研究分野が見落としてきた住宅要因に着目し、若者の親からの自立や結婚、出生率の動向などを、住宅との関係から明らかにしようとする試みがある。人びとは、家族を形成するために、適切な住まいを必要とする。それゆえに、住宅政策や住宅供給のあり方が、家族形成の動向に大きな影響を与える。多くの先進諸国は、家族形成の大きな変容を経験してきたが、その実態は国ごとに異なり、また、家族形成期にある若者を取り巻く住宅事情も大きく違っている。
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日本については、雇用の流動化のもと、近年とくに若者の家族形成が困難になっていることが指摘され、親から自立できない若者や結婚できない若者が増加していること、生活に困窮する若年単身世帯が増加していることなどが大きな問題として取り上げられるようになった。また、これらと関連して、出生率のさらなる低下も危惧されている。住宅に関しては、家賃負担の増加や、単身寮などの福利厚生の縮小などから、若年(とくに、若年単身者)の住宅条件が厳しくなっていることや、若い世帯の住宅ローンの負担が近年著しく増加しており、住宅所有の達成が困難になっていることなどが指摘されている。