円安の場合はどうなるのでしょうか。円安になると、同じ製品を輸出しても円ベースでの手取りが増えるので、輸出はやりやすくなります。一方、輸入面では反対のことが起きます。同じ製品を海外から輸入しようとした場合、以前より多くの円を払わなければなりません。特に日本の場合、石油や鉄鉱石などの原材料、農産物などを輸入に頼る比率が極めて高いので、円安が大きく進むと輸入原材料価格の高騰を招き、国内の卸売物価や消費者物価にはねかえり、インフレの要因にもなりかねません。インフレ懸念が強まれば、日本銀行は金融引き締めに転じるかもしれません。そうなれば、せっかくの景気に水を差すことになるでしょう。円安になれば、確かに輸出はしやすくなりますが、その半面で伶人原材料の上昇などを通じて国内物価に悪影響を及ぼす恐れが強いのです。物価の安定が持続的な経済成長の条件になることを考えれば、円安は日本経済にとってあまり好ましいこととはいえません。これまで見てきたように、円高は物価の安定にもつながり、インフレ要因になりかねない円安よりも良いとの見方が一般的です。日本経済も長年の円高の中で、抵抗力が高まり、円高のプラス面の効果をより大きく享受できるようになりました。しかし、九五年四月には円相場が一時、一ドル=七九円台をつけるなど、これまでにないスピードで円高が進みました。こうした円高はもはや日本経済の調整能力を超えており、円高のプラスの面よりもマイナス面の方が大きくなることが懸念されています。